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■ 「神の火」紀行 王府

高村薫の小説「神の火」
福井の原子力発電所を巡る、国際謀略小説。CIA、KGB、北諜報部、日本の公安、それに主人公たちが
入り乱れて大阪と福井を舞台に大暴れする内容。

文庫は1995年に出ているので、たぶんその辺りに入手したのだろう。
当時手に取り、内容があまりに難解で手放した本である。
ところが福島の原発事故以来、ずいぶんと原発関係のことが報道され、今まで難解だった神の火の
文中用語がすらすらと理解出来るようになった。というより、難解だった専門用語が今やお茶の間用語に
なってしまっている。
それ故、すらすらと、十分理解しながら読み進めたわけである。18年ぶりの再読であった。

その中で、印象的なのは、彼らがよく利用する十三の「王府」という、いわゆる中華キタナトランが出てくる。
島田、日野、江口、良、彼らがいつもここで美味しそうに、実に旨そうにレバニラ炒めや餃子をウォッカとともに
食す場面が多く出てくる。狭い店にぎゅうぎゅう詰めで、ハフハフ良いながら美味しそうに頬張る。

何とか私もここで食べたくて、十三サウナの隣にあるという設定の中華料理屋を探したが、当然のことながら
フィクション上の店は発見出来なかった。
ネットにも殆ど情報が無く、途方に暮れていたとき、何かのリンクで偶然引っかかった店があった。
それが東三国にある「王風」。ネットで見る限り、「神の火」がらみとはどこにも出てこない。

どうしても気になり訪ねて見ると、果たしてそこに小さな中華料理屋があった。
しかし、残念ながら小説の設定とは大きく異なり、結構趣味に走った、jazzのかかる中華料理屋であった。
そっと女将に、「ここ、高村さんの小説に出てきたモデル?」と聞いてみると。
そうよとこくりと頷き、高村さんは良くいらっしゃって、大変お酒に強いんですよ、とのことだった。
ビンゴであった。


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どれも美味しく頂きました。特に餃子は秀逸です。
by sa55z | 2013-08-26 20:27 |
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