既に元気な植物人間となっていた母を毎週見舞いに行っていた。
少しくたびれたその病院は小平の森の中にあった。どこの病院も3ヶ月しかおられず
その後の病院を確定していなければ入れてもらえないという、保険がらみの厳しい現実があった。
既に意識も言葉も失った母は、酒はほとんど飲めなかった母は,酒の肴は大好きだった。焼き鳥も好きだった。
ひょんな事から入った焼鳥屋が、実はこの小平の病院のすぐそばにあったと気がついたのは、雨上がりの表にふらふらと出て、通りの信号機に病院の名前があった時だった。
うーんと気持ちがこみ上げる。こういう肴をうんと食わせてやりたかった。その後、やはり何もしゃべれず4年が過ぎて行く。